科学の光で照らそう(その5)

 一番新しい施設SACLA。名前が和風です。
 XFEL(自由電子X線レーザー)は原理的には解っていましたが、実際に施設として運用できるスケールかつ実用になるレベルの強さの光が出せるかとなると別です。
パネルセッション
 パネルセッション
 各国のXFEL施設の対比表が掲出されていました。
 まあ、この手のアピール点として自分たちの目立つ所を目立つように表現するのですごく良く見えます。はやぶさの場合と同じで少ない予算でこじんまりとしつつ、目的を達成して実現してしまうという日本のお家芸的な印象があります。
 実際に米国のLCLSの後発ということもありますが、全長が最も短く、加速エネルギーが一番低く、なおかつレーザー波長が最も短い(高エネルギー)、さらにお安く仕上がっております(笑)。いや、感心しますよ本当に。
光源棟
 光源棟
 加速器部分(加速器棟)を見学できなかったのですが、光源棟の中は公開されていました。
 実際に機器が設置されているのは現状は中央のラインのみで、今後徐々に設備が設置されていくようです。
 奥の方に黒っぽく小さく写っている機械の固まりのような物がXFELのための真空封止アンジュレータです。
ビームダンプ
 ビームダンプ
 不要になった電子塊はビームダンプで破棄されます。
 ビームダンプに落とすための偏向電磁石が置かれていましたが、これもまたやっぱり巨大な電磁石でした。
実験研究棟内部
 実験研究棟内部
 やはりここも巨大な空間を構築するターゲットの置かれる場所。這い回る電線の太さと数が強烈です。
XFELからの入射口
 XFELからの入射口
 実はSACLAのXFEL用の高品位電子ビームをそのままSpring-8に入れるための追加施設を施工中で、上の写真はSACLAから来たXFELの電子ビームをSpring-8のシンクロトロンへ入射するための入口です。
 まだ、設営中のためSACLA側からの受けを作っている段階のようです。
オマケ
ラック中の電源ユニットとステッピングモータドライバ
 ラック中の電源ユニットとステッピングモータドライバ
 SPring-8で恒常的に使われる規格化された電源とステッピングモータのドライバと思われるユニットですが、SPring-8ロゴが入っていました。よく見るとあちこちの電源ユニットが全てこのタイプ。単一規格で大量に発注しコストダウンと、可換性を高めるようになっているのでしょう。
 それにしても最短波長0.6オングストロームでの位相の揃ったレーザー光というのは、大きな期待を抱かせてくれます。現在の反射鏡を用いて励起・増幅するレーザーがX線では出来ませんでしたので、XFELの意義はかなり大きいと言えます。SPring-8は放射光ですのでインコヒーレントな放射光であり、XFELではコヒーレントな光であるからこそ利用できる(観察できる)事象が拓けます。
 また、SACLAの立ち上げが非常に短い期間で発振へと至ったのは、担当した技術者たちがSPring-8の構築で遭遇した数々のトラブル解決の経験を活かして、ほとんどトラブル無しに当初の目的レベルに達成できた事も大きいそうです。
 当時SPring-8構築時に訳も解らずに現場に放り込まれて次々と発生する難題を四苦八苦した経験が役にったったとの事でした。トラブルになりそうな事象を回避しながら設計・施工出来たのは非常に工期短縮に繋がったそうです。技術の蓄積というのは大きいという事ですね。
 SACLAの解析データは膨大で、TB(テラバイト)単位になるそうです。
 これも理研の施設で世界最高速の性能を出した「京(けい)」へ高速ネットワークを経由して送信し、その処理性能を活かしてデータ処理を行う計画だそうです。
 様々な基礎研究・応用研究を行う施設が有機的に結合して運用され、新しい知見を得る事ができるよう期待します。

4件のコメント

  1. どうやら誤変換のようです。
    不要なスペースも入っていたので修正対応しました。
    ご指摘ありがとうございます。
    注意はしているのですがね・・・。

  2. はい、ご指摘の通りMELECの電源とドライバでした。
    何処でモータがあるのかわかりませんが、どの棟のラック内にも見かけましたので、かなりの数を使っていると思われます。

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