もやしもん

コミックのもやしもんが面白いそうですが、天の邪鬼の私はこちら(笑)。
ふしぎな生きもの カビ・キノコ 菌学入門
ニコラス・マネー著 小川 真訳 築地書館刊
ふしぎな生きもの カビ・キノコ 菌学入門
原題
Mr. Bloomfield’s Orchard:
The Mysterious World of Mushrooms, Molds, and Mycologists
Oxford University Press, Inc.
ISBN978-4-8067-1357-9

とにかく菌類(キノコ、カビ、酵母など)の楽しい本(?)です。
訳者の小川氏は松茸の生態や栽培法の研究などで知られる筋金入りのキノコ好きな方です。そのせいもあり、原書には無いキノコの挿絵やカビ・キノコの分類対系図などが加えられています。
ヒトはおろか、動物や植物が出現する以前から地球上に繁茂していた菌類。その生態や特徴など人類や他の生物とのかかわりを交えながら豊富な実例ととともに解説・紹介がなされています。
菌類と言えば白鮮菌などの真菌類。いやぁな水虫などの菌類が引き起こす皮膚疾患もこいつらのしわざなのです。水虫、陰金、田虫(うわぁ漢字で書くとなんかこわい)の類は真菌類の仕業です。
カビ、キノコもじつはあまり生態が判っていなかったり、詳しく調べられていないものがほとんどということもあり、膨大なフィールド相手にまだまだ宝の山が埋まっている可能性はかなりあります。
あと、キノコの研究と言えば「食べられるか」「美味しいか(笑)」「毒の正体は」というところに必ずひっかかります。著者もけっこういけるクチで、いろいろ食べて確かめるという無鉄砲な部分が垣間見えます。
おちゃめな文章があちこちにあり、例えば第8話 毒キノコあれこれ−破滅の天使の冒頭で以下のような文章があります。
都合がつけば、毎年この残されたフロリダの天国のような場所で、キノコを探したり、枯れ草の茂みをガサゴソとかきわけて歩くノブタに驚いたり、時には私の前立腺が自然植生に少しは役立つ事を期待ししながら散歩します。

要は立ち小便なのですが、こう書かれるとクスッっと微笑んでしまいます。
全編、このような文章がちりばめられており、内容もさることながら翻訳者の苦労と楽しい文章でなかなか盛りだくさんな内容の本なのですが最後までニコニコしながら読み終えてしまいます。
キノコの毒ですが、即効性の症状が出るものがある反面、2週間とか1カ月などの非常に長期にわたってじわじわと身体を蝕み死に至る階段をゆっくり上るものが多いようです。在野のキノコ、収集しても食べない方が賢明でしょう。もっとも食べてみるというのがキノコが可食かどうかを確かめる一番確実な方法です。結果は運次第ですが。

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