くいだおれの灯が消える

大阪名物くいだおれ。残念ですがこの灯が消えてしまう事になりました。
大阪名物くいだおれ
 大阪名物くいだおれ
この人形はくいだおれ人形「くいだおれ太郎」という名前がついており弟の「くいだおれ次郎」もいる
撮影は2005年9月8日のもの
閉店発表後
 閉店発表後
吹出しセリフ付き
お迎えの言葉が大阪市の施策にあわせてか、英語、中国語、韓国語の表記が掲げられる
いまやその座に不動の地位、いや殿堂入りした感じのある株式会社くいだおれの店舗です。しかしながら、建物設備の老朽化、周囲環境・時代の変化、総合食堂形式と家族経営の限界を理由に来る2008年7月8日をもって閉店となる事が4月8日に発表されました。
創業者である山田六郎が戦後間もない戦災の焼け野原の中、食堂を創業したのが昭和24年(1949年)。
店頭にあるピエロ姿のチンドン屋人形はくいだおれ人形と呼ばれ、名前まで付けられています。その名も「くいだおれ太郎」。お店に入ってもらうお客さんだけでなく道行く人々にも楽しんでもらおうという主旨で設置されたものだそうです。設置が開業した翌年の昭和25年(1950年)と言いますから、当時は大変珍しかったのではないでしょうか。いまでも珍しいっちゃあ、珍しいままですが(笑)。
初代のくいだおれ太郎は文楽人形の技術を使って作られていたそうで、設置までかなり紆余曲折があったそうです。
一番苦労したのが顔で、モデルとされた人物がいらっしゃいまして、当時の俳優だった杉狂児さんの顔をモデルとしてロイド眼鏡を掛けた電気仕掛けの鳴りものつきの人形としてデビューしました。
くいだおれ太郎、いろいろと逸話がありまして…
喪服を着たときがある
昭和64年(1989年)、昭和天皇崩御のとき、紅白の服装が喪服に変わりました。
飛行機に乗って海外に行った
関西空港開港の平成6年(1994年)。関西空港発の第1便に搭乗、オーストラリアへ行っています。
貨物ではありません。ちゃんとチケットを取り座席に座って(よりかかって?)搭乗です。
もっとも航空便の座席指定を取るために名前を決めなければならず、それまで単に「くいだおれ人形」と呼ばれていたものが、「くいだおれ太郎」と命名されたとの事。
現地でも報道されるなど世界的デビューを果たしました。
ロスアンゼルスへ行った
関空開港の翌年平成7年(1995年)には野茂選手の応援のために今度はロスアンゼルスまで訪問。
現地メディアでも取り上げられるなど、世界のくいだおれ太郎となっています。
弟ができた
今上天皇明仁の即位の御大典である平成2年(1990年)、チンドン屋で太鼓をたたく動きだった太郎に代わり、両手を挙げてバンザイをする「バンザイ人形」が登場。弟の「くいだおれ次郎」となります。
「バンザイ人形」から実際の命名時期は関西空港から出発した兄が「くいだおれ太郎」と命名されたことから弟分の「くいだおれ次郎」と命名されました。
その後、次郎はいろいろな国民的慶事や大阪の祝い事に登場しています。
初代人形が復刻した
現在のくいだおれ太郎になる前の初代くいだおれ人形が創業50周年の1999年に復刻。
くいだおれ太郎と入れ替わって設置されていた時期がありました。設置時は法被姿に鉢巻と言う現在のくいだおれ太郎とは似ても似つかぬ井出達です。
いなくなっていたかも
現在のくいだおれビルができたのが昭和34年(1959年)。そのとき資金調達をするために銀行に融資を申し出たときの融資決済条件が人形の撤去だったそうです。創業者は融資をとるより人形の存続を優先し断ったとのことです。豪傑といっても過言ではありません。
しかもできあがったくいだおれビルは当時でも大変珍しい全館冷房付きというビル。お客を快適に迎える精神で導入されたとの事です。
店舗ですが全8階の総合食堂形式で
1F 洋食レストラン
2F 居酒屋
3F 和定食
4F〜8F 御座敷割烹
となっています。
1F 洋食レストラン
昨年6月12日に改装してグランドオープンしたばかりだそうです。
ファミリーレストランメニューでくいだおれと冠したメニューが何点かあり、どれも喰い倒れるボリュームです。
くいだおれセット
ステーキ(当然、牛肉)、ハンバーグ、エビフライにご飯まで付くので相当ボリュームあり
くいだおれオムライス
デミグラスソースがたっぷりで卵部分にケチャップが網目模様にかかっているのがくいだおれ人形のイメージか
くいだおれかつ丼
皿に盛ったご飯にカツだけでなくオムレツが載っているため相当ハイカロリーのようだ
お子様ランチ
おもちゃに鼻眼鏡を選べるのが強烈
メニューとしてはハンバーグにエビフライのほか、イタリアンスパゲティや野菜サラダが付くなどスタンダードな内容
2F 居酒屋
居酒屋のコースには大阪らしいネーミングがついており、丁稚どんコース、手代コース、番頭はんコース、旦那さんコースと徐々に値段が高くなります。丁稚どんコースはなんと席代のみで食べ物は全て追加となり自分で選ぶという驚異的なコース設定です。
3F 和定食
和定食と言いつつ、和食なのです。ちゃんこ鍋やすき焼きなどがメインとなっています。
御膳料理(コース料理)は国産黒毛和牛のすき焼き小鍋のある歌舞伎、戎橋御膳、浪花御膳、道頓堀御膳とこれまた道頓堀界隈にゆかりのある名称が組まれています。
4F〜8F 割烹
月変わりの会席コースやなべ類などをメインに据えたゆっくりと楽しみたい人向けのフロアです。お値段もそれなりにします。お子様向けというよりは大人の時間を過ごしたい人向けでしょう。
概ね下のフロアは入りやすい値段設定(安い)に、上層階に行くほど敷居が高く(高額)になるように設定されているようです。
始めは1Fあたりで小手調べ、ちょっとお酒で居酒屋、本格和食で3Fへ、さらにちょっとリッチに割烹へ上がる。なんとも大阪人的な見栄をくすぐる設定と言えるでしょう。
大阪人、以外と大阪の施設や名物・名所などを知らず、有名だけれども地元なのでいつでも入れると思うのか行かない場所が多くあります。

くいだおれの裏手に「ウラ・くいだおれ」というパシフィック・リム・レストラン(環太平洋レストラン?)という2007年7月にグランドオープンした店舗がありまして、洒落たレストラン形式のワインと本格西洋料理の店舗があります。残念ながらオモテの店舗の閉店に合わせてウラくいだおれも同時に閉店となります。
ウラくいだおれ
 ウラくいだおれ
ウラくいだおれの店内にはくいだおれ太郎同伴席があり、記念撮影が行えるというにくい演出がなされています。ただし、営業時間は17:00からですので、あまり子供同伴でという時間帯ではない気もします。
黒山の人だかり
黒山の人だかり
いつもある程度混雑はしていたがこの状態は今までに無いほど人が多い
ケイタイを掲げて撮影する人が多かった
閉店の報道発表後、それまででも大概撮影する人が多かったくいだおれ太郎ですが、無くなると決まってからは黒山の人だかりです。もちろん、店舗も並んで入る盛況ぶり。割烹などの上層階は予約しないと入れないような状況になってしまい大変な盛況ぶりを示しています。
もっとも、いつもそれぐらい混雑している人気があれば、閉店するという話も無かったのでしょうが。

2件のコメント

  1. いやぁボクもくいだおれ閉店のことはニュースで聞いていたのですが、改めてこのなんぎさんのレポートを読むと知らなかったこともたくさんあり感慨深かったです。
    しかし大阪名物のくせに入ったことはなかったんですよね、ここ。ホンマに残念です。
    あとこのくいだおれ人形の行く末ですが、創業者の出身地の兵庫県のなんとかいう町が買い取りたいという話と、通天閣が買い取りたいという話が出てますね。
    個人的には通天閣に買い取ってもらい大阪名物として末永く活躍してもらいたいところです。

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