HA-K1

 先日購入したNutubeポタアンのキットをやっと組み立て終わりました。

HA-K1本体基板
 HA-K1本体基板

 そのまま組み上げればよかったのですが、両面スルーホール基板の部品を実装後に交換するのは面倒だったため、どうしてもコンデンサ類を換えておきたく、それらの部品調達に時間を取られてしまいました。思い返せば通販で買えば良かったのでしょう。
 基板上のコンデンサで同梱されていた部品を使ったのは1ヶ所だけです。
 その1つはどうしても目的の品種のコンデンサーに同じ定格・寸法の物が店頭では簡単に入手できなかったため、あきらめました(220μF/6.3Vで外形直径5mmφ、低電圧の耐圧のためか音響用では店頭に置かれていない)。
 それ以外はすべて変更してあります。電解コンデンサは東信のUTS-Jに、両極性電解コンデンサはMUSE BPに、フィルムコンデンサはニッセイのMTFに変更しました。組み上げて変更ではなく初めから元の部品で組んでいないので元の部品の音がどのような音かが判らないのが難点ですね。
 組み上げた後に一部調整箇所がありますので調整します。
 調整できるのはバイアス電圧、アノード負荷抵抗です。取扱説明書に従って回して好みの音になるように仕上げます。説明書ではテスターを使って数値的に追い込む記述が一切ありませんので、使用者の好みに合わせて感覚的に調整しろということでしょう。
 Nutubeは直熱型真空管の特性が色濃く出ます。特にマイクロフォニック・ノイズ。
 Nutubeのパッケージに振動を与えると「キーン」という澄んだ風鈴のような音色が入力ソースと関係なく聴こえてきます。また、外部磁界にも弱いのでその点も運用上の注意が必要だと思います。
 総評としては低音がパワフルで高音までしっかり伸びていて、いわゆるカマボコ型と称される「真空管」的な丸い音色ではありません。内部で昇圧回路を使ってオペアンプを駆動していることから大径ダイヤフラムのヘッドホンでも苦もなく駆動してくれているようです。
 チャンネルセパレーションも良いようで、しっかりとした音の定位を見せてくれます。
 終段のオペアンプを取り替えて遊べるようですので(ICソケットを実装)、その通り遊んでみました。
 移動中に聴くシーンを想定していますので長時間聴いても聴き疲れしない音かどうかを重点的に評価してみました。試聴に使ったのはFinalのE1000です(確認にATH-A500Xも使用しています)。
 ここでのレビューは、私個人の主観的なものですのであくまでもご参考程度にしてください。

 NJM4580D(キット付属)
 良くも悪くも普通の音。巷で言われるような悪い印象はありません。
 この安いオペアンプでこの音かと思えるほど上質な音で聴き疲れもありません。
 ちなみに選別品のNJM4580DDの場合は音のクリア度がアップしましたが傾向は同じです。

 MUSES 01(キット付属)
 クリアかつストレート、さらに音の広がり感もあります。
 さすがと言うべきなのでしょうか。このポータブルヘッドホンアンプの定数はこのオペアンプを使う前提で決められたのではないかと思えるぐらいです。

 OPA2604
 USB-DACのときのモヤモヤ感が嘘のようでFET臭さが取れたたいへんクリアな音質になっています。
 素直なのですが、高温のシャリシャリ感があってちょっと聴き疲れしそうです。

 LME49720
 特徴の無いフラットな素直でおとなしい感じの音質。
 高音域の刺々しさも無く安心して長時間聴けると思います。

 JRC5532DD
 いつも聴いているYAHAアンプの終段と聴き比べるとやや中音不足な印象を受けます。
 高音域にキーンとしたものがあり、丸めの音の割に聴き疲れしそうです。

 MUSES 8820
 バイポーラらしいクリアな音質です。
 もうすこし低音がパワフルな感じが欲しいところで、そのためか、やや高音域が目立ちます。それほど長い時間でなければ気にならないと思います。
 MUSES 8920
 艶のと伸びのある落ち着いた音質です。
 やや低音が強め、中低音が抑え気味な気もしますが、聴き疲れしない音質でしょう。

 NJM8901
 SOPですので変換基板でDIP-8にして使います。
 やや大人しいですが、低音持ち上がり気味で中・高音域に癖がありそうです。
 音源を選べば気にならないのかもしれませんが、すこし様子見な感じです。

 総じてロック系のディストーションのかかったエレキギターがメインの曲はしんどそうです。どういうわけか、それらの音はさらに歪んだ音に聴こえてしまいました。Nutubeの特性なのかもしれませんが…。
 レベルもフル付近で推移する最近の録音だと歪み気味に聴こえてしまいます。
 音源はクラシック系、ボーカル系、R&Bなどのおとなしめの音楽には相性が良さそうです。ギンギンでハイな音楽はちょっと辛いかもしれませんね。
 このあたりはオリジナルの部品構成だと問題なくどれでも聴けるようになっていたかもしれませんので、あくまでも私の部品構成での聴感と印象だとお考え下さい。
 UTS−Jは高音が出過ぎる時がありますのでFW辺りの方が良かったかもしれません。「高い部品=良い音がする」とは思っていませんので好みの問題でしょう。
 とりあえずはNutubeは電源を入れて数時間も経過していませんので今後の音の変化に注意しながら見守りたいと思います。
 直熱型三極管であるNutubeの特性を活かしたすばらしいポータブルヘッドホンアンプだと思います。ただ、個人的にはミント缶はやめてほしかったですね…。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA