エフェクター作り(基板設計編)

 電子部品をはんだ付けし、配線を行うのにはいろいろ方法がありますが、ユニバーサル基板を使って部品の実装とリード線や耐熱ビニル線等を使って配線を行うのが試作や単発で製作する場合はお手軽です。
 ただし、配線する数が少なければ・・・という条件が前提です。
 ある程度配線に要する数が増えてくるとプリント配線基板をおこしてやるほうが手間も間違いも少なくなるのでよりよい方法と言えます。ただし、基盤に必要な配線パターンを実現出来る範囲で考えて作成するのが手間となります。もっとも手で配線する場合も整然とした配線を行おうとすれば同じような手順が必要となります。
 フリーで利用できるECADには何種類かありますが、私はEAGLE Light Editionを利用しています(本家のサイトはこちら)。
EAGLE 回路図エディタ
 EAGLE 4.14での回路図エディタ画面
 元の回路は「ひよこのページ」にある、ファズ
EAGLE ボードエディタ
 EAGLE 4.14での基板レイアウト画面
基板半田面
 出来上がった基板のハンダ面(配線面)

 上の基板レイアウト画面と左右反転の配線がされている
 これは

  • レイアウトエディタ(基板上の部品配置やパターン配線の作成編集ができる)
  • 回路図エディタ(パターンの元になる回路図の作成・編集ができる)
  • 自動配線機能(回路図と部品配置から自動的に基板上の配線を行う)

 の機能が利用できるうえ、ライブラリが豊富に提供されており、ダウンロード後に即利用可能といっても過言ではありません。またOLIMEXというEAGLEでのデータで受け付けてくれる廉価な基板製作会社があるのも魅力的です。LightEditionで作成出来る160×100mmで両面基板であれば$26で作ってくれると言うアマチュアには有り難い破格の基板製作会社です。
 私のように、配線を決めるだけで、基板製作会社に発注するのでなければそれほどシビアに考えずに使えることもメリットがあります。もちろん、プリント基板をおこせば、配線は基板面の銅箔がそのまま配線となるようになっていますので、部品をはんだ付けするだけでほぼ配線作業も済んでしまい大変省力化されます。配線パターンにミスが無ければ、部品のはんだ付け以外に配線ミスはありません。その代わり自作基板を作る作業が別途必要となり、薬品類などの廃液処理なども発生します。
 EAGLEはWindowsで動くソフトだったのですが、徐々にそのプラットホームを広げてきており、Windows版のほかにLinux版、MacOSX版があり、特にOSXで動くバージョン(X11が必要です)では、私の通常の仕事環境がMacintoshであることもありこのソフトを採用している大きなファクターのひとつです。また、作成したデータはWindows版とOSX版ではそのまま相互に利用できることを確かめていますし、ライブラリデータもそのまま利用でき、ユーザーにとってかなり環境依存性が低いソフトといえるでしょう。
 ユニバーサル基板向けに配線パターンを作るときは、

  • 片面配線を基本とする(ジャンパは極力少なく)
  • ピン間0本ルール
  • 配線時に無理の無い引き回しをする
  • 最外周のランドも利用可能
  • 部品が実装される周囲の部品穴が利用できない場合もある

 などのルールに注意して作成しています。特にジャンパを如何に減らすかとか、配線しやすい経路を作成するなどは、ルールを破ると自分で作るときにハマリそうなので気をつけています。
自動配線で片面になるようにルール付けして試してみたこともありますが、人間が考えたほうがはるかに最適な配線となるのは、まだまだ自動配線の性能は向上の余地があるということでしょう。両面基板でいろいろパラメータを調整して試してみたこともありますが、やはりある程度人間が手を入れないとしんどい部分があります。
 このEAGLE Light Editionですが、個人用途で100mm×80mm以下の大きさで両面基板までの場合はライセンスフリーで利用でき、私のような用途の場合は無償で利用できるため、大変助かっています。製品に利用する場合はライセンスを取得する必要があるのですが、このフリー利用と同じ条件であればかなり安い金額(2005年5月現在$49)で製作することができるので、小ロット生産の場合はこれで十分対応可能でしょう。
 製作の時間のかなりの時間がこのパターン設計になってしまっており、「そんなんせんでもええやん。」と思いつつ「一応間違わんように、ちゃんとしとこ。」と無駄といえば無駄な作業をしています。
 出戻りエフェクターの場合のように、元の回路図入力で間違っているとどうしようもありませんが、設計したパターンどおりに配線すれば、はんだ付け不良以外には配線ミスが無いので、その分は大変安心してできるのも事実です。評価頂いた方はOrCAD LayoutとOrCAD PSprice A/Dをお使いで、動的解析までされるという強者の方でした。未熟者の私はまだまだその領域までは達しておりません。
 お金と時間がもう少しあれば、プリント基板の自作までしたいのですが、なかなか両方とも確保できず(泣)しばらく手配線の醍醐味を味わっていると思います。

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