微妙な違い

 さあて、何が違うのか。
ひと味ちがう
 ひと味ちがう
 これをいうと世代がバレるのですが(笑)、子供の頃に食卓と料理業界に化学調味料が一気に普及しました。「味の素」はともかく、タケダの「ハイミー」も含めて多くの化学調味料(グルタミン酸ナトリウム、またはグルタミン酸ソーダ)、通称「グルソー」が自分で使える調味料として食卓や店舗の調味料カトラリーに普通に置かれていました。
 旨味成分であるグルタミン酸ナトリウムは昆布の旨味成分の主体をなすものであり、味覚の分類に「うま味:umami」を世界的に認めさせる事になりました。実際にうま味を感じる舌の味蕾の受容体が発見されたのは近年ですが、鰹節のうま味成分である5’イノシン酸や干し椎茸のうま味成分である5’グアノシン一リン酸(グアニル酸)を含む核酸などと並んで「旨味」を味覚の一つとして成立させたのは日本人の功績と言えるでしょう。
 子供の頃は高価な調味料であった化学調味料(石油成分などから合成されたため、この呼称が使われた)は高級調味料として、料理の仕上げに一振りすることで劇的に美味しくなる魔法の調味料だったのです。もちろんお好み焼きや焼きそばに使われるソースに大量に使えるほど安価な原材料では無かったので、お店で最後の一振りをする事も多々ありあました。
 その最後の一振りが「ひと味ちがう」だったのかもしれません。
 今では「化学調味料」と呼ばせずに、サトウキビの廃蜜糖などの不可食材料から微生物の力を借りて発酵する事で製造している事もあることから、某メーカーは化学合成ではなく発酵を用いていることから「うま味調味料」の呼称を使うこと、となっています。
 ただ健康志向から食塩、ひいてはナトリウムの摂取量を減らすようになったことから、いわゆる食塩である塩化ナトリウムだけでなく、グルタミン酸のナトリウム塩化物であるうま味調味料のナトリウム量もカウントされるようになり、食品成分の表記が食塩からナトリウム(食塩相当量が併記)されるようになりました。食塩摂取量と高血圧の関連性は指摘されていますが、高ナトリウム摂取を行ったから確実に高血圧になるというわけではなく60%程度に止まるそうです。防疫的には有効な数字ではありますが、しょっぱい食生活をしても高血圧にならない群があることから耐性かそもそも要因かどうかが怪しまれるのが本音ではないでしょうか。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA